(読書)差異によって自分がわかるのでなく、差異を通じて輪郭をつくる はみだしの人類学

西洋はオリエント文化を通じて自分達の文明を認識した。文化人類学は異文化を理解するというよりも、異文化を通じて自分の文化を理解する学問であるということが強く意識されるようになった。

 

比較が差異を生む。そこでは、差異を強調する方向で比較する方法もある一方、境界線のひきかたや、境界線を越えて共有される側面に注目する方法もある。

 

対象に深く入り込むと自分も変容せざるを得ない。そして常に自分を開いていないとキーワードには気づかない。

 

イスラムの文化を学び尊重しましょう、という異文化理解は、逆に境界線を引いて差異を作り出す。どうすればその差異を乗り越え、境界をゆるがすことができるのかが、異文化理解のめざすところなのに、日本文化との間に乗り越えがたい差異があるというところからスタートしている。自分は他とは異なった存在であるというのは欲望にすぎない。